意味上の主語 動名詞の場合②(解答編)
(問)日本語の意味になるように( )内の語を並び替えなさい。
「情報がすぐには共有されないというのは昔からある問題だ。」
(are/ being/ readily shared/ of/ ones/ information/ not/ old/ the problems).
答: The problems of information not being readily shared are old ones.
この問題の大事な点は、ofの目的語です。前置詞は、文字通り名詞の前に置かれるので「前置詞」です。元の英語でも"pro(前)+position(位置)"でほぼそのまま日本語が作られています。
この前置詞とセットになる名詞のことを目的語と言います。他動詞の後ろにくる名詞も目的語と呼ばれます。両方とも必ず名詞です。
さて、この問題を考えていきます。
①「情報」は"information"でいいですね。「すぐには」="readily"も問題ありません。 「共有されない」="are not shared"としてしまうとうまくいきません。"information"は単数名詞ですから"are"では間違いです。
②そこで方針を変えます。このように、間違いに気づいたらすぐに方向転換できると、文章を読むのが速くなります。頭の中で高速処理が行われます。
しかし、informationの動詞になるはずの"is!がないのでいったん保留します。
③"are"の主語になれるのは"the problems"ということに気づけば、先に進むことができます。
→"the problems are old" 「その問題は古い」とすれば、「昔からある問題だ」のところがまとまります。
➃次に「その問題」はどのような問題かを付け加えます。「という」は、「同格のof」です。
<*ここでは詳述しませんが、他に、「主格のof」と「目的格のof」を学習しておく必要があります。>
さて、本日のポイントです。ofの目的語は名詞なので、動名詞"being"を置いてみましょう。 →of being readily shared"「すぐに共有されるという」
さらにnotを前につけると→"of not being shared"「すぐには共有されないという」が出来上がります。
③+➃ "the problems of not being shared are old"
⑤残りの選択肢は (information / ones ) です。 one=problem, ones=problems と考えると"old ones"ができます。
③+➃+⑤ The problems of not being shared are old ones.
これでなんとか全体像が見えましたか?残りの( information )が動名詞の意味上の主語になります。
出来上がった英文: The problems of information not being shared are old ones.
まとめ:of の目的語は動名詞の"being"。"information"は動名詞beingの意味上の主語。
この動名詞の意味上の主語という文法事項は、意識しなくても意味が取れることが多いので、きちんと理解しようとする人が少ないですが、正確に読めると、格段によみやすくなることがあるので、頑張って本日の説明を読み返してみてください。英文法の全体的な知識の整理につながります。
2010年度の早稲田大学社会学部 に、NewYorkTimesからの英文が出題されています。その中に、次のような1文があります。
There are examples of stress weakening biological sex differences in humans.
原文では "weakening" は"muting"です。
of の目的語は動名詞のweakeningであることに気づけば、stressはその意味上の主語なので、「ストレスが緩和される」のではなく、「ストレスが緩和する」ということを読み取ることができます。ストレス社会では、男女の性的な違いが少なくなるといった文意です。
「to不定詞の意味上の主語」と並んで、英語を正確に理解する武器になります。わかりにくくても、またどこかで出会ったときにはじっくり考えるようにしてください。