前置詞の働きを理解しよう! 文末の "against"に違和感

They were discriminated against. という文に違和感がありませんか?"against"は前置詞です。前置詞は、名詞とセットで働くので、この文のように単独で働くことはないのです。では、単独で働いているのなら、副詞なのか?確かに"in"など、前置詞としてだけではなく、副詞としても働く単語はあります。しかし、"against"には副詞としての用法はありません。

この"against"は、もともと、"them"という名詞とセットでした。この文をよく見てみると、主語が"They"です。さらに、動詞の部分が"were discriminated"と、受動態になっています。この受動態の文を能動態にすると、①be動詞が必要なくなり、 ②主語"They"が目的語の位置に置かれます。そうすると、

① "( S )discriminated against <they>. ❌

という形になります。つまり、主語( S ) の場所にくる単語が書かれていないのです。もちろん、<they>は、againstという前置詞の「目的語」なので"them"に書きかえます。

②( S ) dicriminated against them.

ここまで来たら、空欄になっている主語( S )に入る語を考えましょう。もともと"They were discrimintated against." には、 "by ~ "の形の動作主が書かれていないのです。能動態に戻すときには「主格」に直して主語として書かなければなりません。こういうときに省略されるのは、"by them"のことが多いです。「彼ら」、つまり、わざわざ言わなくても明らかにわかっている場合です。

そこで、表題の文章を能動態にしてみると

③They discriminated against them. 「彼らは彼らを差別していた。」

という文になります。やっと能動態の文ができあがったのに、ちょっと意味がわかりません。「彼ら」が2つも出てきてわかりにくいですね。by themを省略したくなる気持ちもわかります。(この文章では、それぞれ、カナダ人と日本人のことをさしていました。)

文意はともかく、③の文では "against them" のところが「前置詞+名詞」になっています。この、前置詞とセットで使われる名詞のことを「前置詞の目的語」と言います。だから、aganstの後ろには"they"(主格)ではなく、”them”(目的格)が使われるのです。

文末にポツンとおいてけぼりにされた前置詞の働きが理解できたでしょうか。

<受動態になって文末に前置詞が残ってしまう例>

(1) The house has been paid for (by them).

(2) I was laughed at ( by them).

(3) He was taken care of (by them).

*ちなみに、"in"は、形容詞、名詞として使われることもあります。

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